イシンホームの標準装備【ウイルス対策のある家編】
2022.03.25
Column
2021年になってから注目を集めるようになった『ウッドショック』。
今回はこのウッドショックが新築住宅に与える影響、なぜこのような事態の中に陥っているのか、
今後終わりの見通しが立っているのか、、、を解説していきたいと思います。
ウッドショックとは、木材の需要が逼迫し供給不足によって木材の価格が高くなることです。
木造の住宅を建てる場合、柱や梁、さらには建物の土台など木材を使用します。
この木材が2021年に入ってから現在に至るまで、需要が追い付いていない状況で、価格高騰に伴い建設業界に大きな影響が出ています。
これは1970年代に発生した「オイルショック」になぞらえてこのように呼びます。
以下、表からも分かるように、経済産業省の調査では、木材や木製品、林産業全体の輸入価格が2021年に入ってから高くなっていることが分かります。
また、製材の輸入価格の変動について着目してみると、米国からの輸入価格が特に高騰しているのがうかがえます。
2021年9月の価格は、前年末と比べて約2.75倍になっており、2021年に入ってから著しく跳ね上がっています。
イシンホームでは、国産桧を柱材と土台に、欧州赤松を梁に使用しています。
(過去コラム参照⇒イシンホームの標準装備【耐震構造編】)
その欧州製材に着目しても、2021年9月の価格は、前年末の比べ約1.98倍高騰しているのが分かります。
【引用:いつまで続くウッドショック;価格の高止まりが需要に影響?(経済産業省)】
ウッドショックはなぜ起きているのでしょうか?
原因の前に、日本の住宅業界の木材事情をご説明します。
現在、日本の住宅メーカーが使う木材の7割を輸入材に頼っています。
これは戦時中の森林の伐採、戦後に住宅需要が逼迫、さらに伐採されたことにより国内の木材は減少しました。
木材は植林にしてから市場に出るまで30年以上の時間がかかる為、海外からの輸入に頼るようになったのです。
また、国内の森林が回復する前に林業従事者の減少により国内の林業は衰退してしまいました。
ウッドショックの背景には新型コロナウイルスが大きく関わっています。
アメリカではコロナの影響で住宅建設が一時期落ち込みましたが、2020年5月のロックダウン解除後から住宅建築需要が増加しました。
2021年2月には低下したものの、住宅建築許可件数は前年より高い水準を維持しています。
これは、膨大な財政出動と低金利政策が取られたことと、リモートワークにより自宅の環境を見直し住宅を郊外に新しく購入したり、リフォームを行う件数が増えたことが要因に挙げられます。
2020年以降、新型コロナウイルスの影響により、製材工場の稼働率が低下したことや、コロナ禍の中でインターネットシッピングが増加し世界的なコンテナ不足に陥り、日本に木材が届きにくくなっています。
中国の木材需要も増加しています。
中国の木材需要については、アメリカ以上に今後の木材市場に大きな影響を及ぼすと考えられます。
中国は産業用丸太の世界最大の輸入国で、2018年には世界の産業用丸太の43%を輸入していました。
コンテナ不足の大きな要因が、いち早くコロナ禍から脱出した中国がコンテナを買い集めていることにあるとも言われています。
上記理由に加えて、前述したとおり日本の使用する木材の7割が輸入材にたよっていることも、価格高騰に拍車をかけています。
しかし、国内林業は労働力不足、市場価格が維持できないなどの構造的な問題や国産材の性能では代替できないなど、簡単に国産材の供給を増やすことが難しいという課題を抱えています。
以上のように従来の日本の傾向に加え、昨今の社会情勢の影響によって需要と供給が追い付かず『ウッドショック』を引き起こす結果となってしまいました。
イシンホームでは国産桧と欧州赤松を使用しておりますので、「ウッドショック」の影響を受けており価格への影響を余儀なくされているのが現状です。
ウッドショックは、この数十年の間に2回起こっており、今回が3回目と言われています。
【第1次ウッドショック】
1990年代初頭、世界的な天然林保護活動をきっかけとして木材需要の逼迫が発生
【第2次ウッドショック】
2006年にインドネシアの伐採制限が引き金となって生じた、合板等の逼迫が発生
今回は第3次ウッドショックで、主に新型コロナウイルスが影響し、木材需要がたかまり、価格急上昇により引き起こされています。
今後、お家計画を進めている方にとっては、いつまで続くのか、見通しがたっているのか気になるところですよね、、、。
結論からいうと、回復の見通しは立っておらず、厳しい状況が続きそうです。
現在、気がかりなのはロシアによるウクライナ侵攻による影響です。
ロシアは世界最大の製材品の輸出国であるとともに、ニュージーランドに次ぐ丸太輸出国でもあり、世界の林産物貿易において欠かすことのできない国です。
今年からロシアは、丸太の事実上の輸出禁止に加え、西側諸国の制裁に対する報復措置として林産物分野では原木、単板、チップの輸出禁止を打ち出しています。
これにより、米国や日本への供給の減少といった玉突き現象が起こる可能性が高いです。
需要関係次第ではありますが、価格が跳ね上がる可能性も十分あり得ます。
先行き不安ではありますが、これ以上の価格への影響を考えて、早い段階でお家計画を進めていきませんか?